フッ化水素酸供給設備
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フッ化水素酸の用途
フッ化水素酸(HF)は、さまざまな産業および実験室での用途がありますが、腐食性が高く、毒性と皮膚や組織への浸透力があるため、慎重な取り扱いが必要です。その用途の一部を次に示します。
エッチングと洗浄
HFは半導体産業でシリコンウェハーのウェットエッチングおよびウェット洗浄工程で使用されます。
ガラスエッチング
HFはガラス業界でガラス表面のエッチング(溶解によるスリミング)やAG(アンチグレア)加工に使用されます。液晶基板やOLED基板のエッチングや、すりガラス製品の製造工程にも使用されます。
石油精製
HFは石油産業でアルキル化(オレフィンとイソブタンを組み合わせて高オクタン価ガソリン成分を製造するプロセス)に使用されます。
歯科医療
HFは歯科診療において、接着などの特定の工程の前に歯を洗浄したりエッチングしたりする等、さまざまな用途で使用されます。人体向けには希釈された形で使用されます。
錆の除去
HFは金属から錆やその他の表面汚染物質を除去するために使用できます。一方でその腐食性の性質により、金属表面への損傷やエンドユーザーへの潜在的な危害を防ぐために十分なリンス洗浄が必要です。
フッ化水素酸の供給設備
当社が得意とするフッ酸供給プラント設備は以下の機器で構成されています。
HF貯蔵タンク
原液となるフッ酸を液体で貯蔵する為のタンクです。材質はステンレス製タンクに内面テフロンコーティングしたものや、オール樹脂製タンクなど様々です。
HF供給ポンプ
原液となるフッ酸を次工程へ送液する為の圧送ポンプです。要求仕様により当社で選定いたします。材質選定が重要です。
HF用配管・継手
腐食性の高いフッ酸を次工程へ送液する為の配管類です。要求仕様により当社で選定いたします。材質選定が重要です。
安全対策として二重配管はもとより、屋外敷設の場合は耐候性にも配慮した部材を選定します。
HF用熱交換器
腐食性の高いフッ酸の液温制御に欠かせません。要求仕様により当社で選定いたします。材質選定が重要です。
酸性ガス処理装置(スクラバー)
腐食性の高い酸性ガスの無害化処理にスクラバーは必須となります。要求仕様により当社で選定いたします。材質選定が重要です。
フッ化水素酸の濃度調整
55%以下の濃度調整に対応可能です。濃度調整としては、高濃度HFと低濃度HFを混合させる、または高濃度HFを純水で希釈する方法等があります。
フッ化水素酸の液温調整
HFを生産プロセスで使用する際、液温制御は重要なプロセスファクターとなります。当社で耐HFに実績のあるヒーターや熱交換器を選定します。
液温制御用に冷却水や温水を使用する際、熱交換器からのガス透過による循環水の酸性化にも配慮が必要です。
フッ化水素酸を使うプラントの実績
当社ではフッ化水素酸供給設備の社外納入実績がある他、大阪本社工場をはじめ、日本の各製造拠点で大量のフッ酸を取り扱っております。
当社自身がフッ酸プラントを運用するユーザーですので、過去の失敗事例をもとに安全なフッ酸供給設備を提案させて頂きます。
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薬液貯蔵タンク
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ケミカルポンプ
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安全ブースカバー
HFプラント運用実績例
項目
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実績
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主となる薬液 |
フッ化水素酸
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フッ酸濃度 |
65%以下
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取扱い量 |
最大2000トン/月
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運転方法 |
自動運転
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制御方法 |
PLC制御
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規格 |
JIS規格
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安全対策 |
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特徴
フッ酸の取り扱いには、腐食性ガス対策として排ガス処理装置(スクラバー)が付帯設備として必須です。
スクラバーや排気ダクトの材質や施工方法にも、当社経験則より安全ノウハウがあります。お客様の目的に合わせて設計・製作・施工いたします。
ご注意
フッ酸以外の酸性薬品や、その他アルカリ性薬品のケミカルプラントについては、対応できるケースもありますので、お問合せいただきますようお願いいたします。
以下の要求仕様には対応しておりません。予めご了承ください。
対応不可
1. 蛍石から無水フッ酸を生成するプラント設備
2. 無水フッ酸を希釈するプラント設備
3. HFガスをプロセス主体とするプラント設備
4. フッ化水素酸濃度55%を超えるプラント設備