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DESライン装置
フォトエッチング業界において、度々耳にする事がある”DESライン装置“についてご説明いたします。(読み方:DES=デス)
機能だけに留まらず、メリット・デメリットまで記載しているサイトは殆どありませんので、参考にしていただければ幸いです。もちろん当社でも製作しております。
DESラインとは?
現像、エッチング、剥離を行う機能を備える一体型ラインの装置です。ポイントはこの3工程が1つの装置でできるという部分です。
名前の由来は現像【Developing】、エッチング【Etching】、剥離【Stripping】の英語の頭文字3つから来ています。
それぞれの機能を見ていきましょう。
現像(Developing)
フォトファブリケーションにおいて、現像は露光後の工程です。
必要部分以外のフォトレジストを溶解除去し、フォトレジストのパターン画像を形成します。
現像液に浸漬する”浸漬法”と、スプレーで吹き付ける”スプレー法”があり、現像液の供給効率面で優れているスプレー法が一般的に多く用いられます。
現像直後にポストベーキングという加熱処理をセットで行います。ポストベーキングする事でフォトレジスト膜が硬化し、これにより次工程のエッチング液への耐性が得られ、且つ基板との密着性が向上します。
エッチング(Etching)
エッチングは現像後の工程です。
金属材料(製品)に適したエッチング液を用いて、連続搬送しながらスプレー方式で吹き付け、大量かつ均一にエッチング処理します。
エッチング液の管理が重要になるため、付帯設備としてエッチング液自動分析装置を取り付け、各成分分析のフィードバックより各種薬液を自動供給し、エッチングレートを一定に保ちます。
剥離(Stripping)
剥離はエッチング後の工程です。
エッチング処理後に不要になったフォトレジスト膜を溶解除去します。
フォトレジストの種類によって、40~80℃、又は100℃前後に加熱した水酸化ナトリウムが一般的に使用されます。
特殊なレジストの場合、キシレン、アルコール類、ケトン類などの混合溶剤が使用される事もあります。
浸漬だけで剥離できない場合、ブラシやスプレーなどの物理的な力を加えて剥離します。剥離直後に純水洗浄、乾燥、防錆処理をセットで行います。
DESラインのメリットとデメリット
DESラインのメリット
3工程を1装置にする事で
- 装置のフットプリントが小さくなる。
- 投入口(LD)、取出し口(ULD)が1箇所ずつになる事による省人化。
- 3工程セパレート型で3つの装置を購入するより安価になる。
DESラインのデメリット
3工程を1装置にする事で
- 装置の処理タクトが一番遅い工程で律速する。
- 製品不良発生時、原因の切り分けがやや困難になる。
- 処理条件が大きく変わる多品種製品の流品には不向き。
- フォトレジストの種類や膜厚を評価・選定するような研究開発用途には不向き。
以上の事から、
例えば薄膜回路基板用ラインなど使用用途が決まっており、フォトレジスト・現像液・エッチング液・剥離液の組成や使用条件も固まっている量産向けの装置と言えます。
当社のDESライン装置
Developing Etching Stripping一体型装置の仕様例
項目
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内容
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用途 | 薄膜エッチング用 |
ワーク材質 |
ステンレス鋼、銅、アルミ
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ワーク幅 |
横幅600mm
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主な薬液 |
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主な機能 |
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DESラインの特徴
現像・エッチング・剥離の3つ機能を兼ね備えた自動装置です。
製品材料や使用薬液、処理時間など明確な場合に最小フットプリント、低価格にて製作する事ができます。
酸とアルカリの両方を使用しますので、縁切りなど安全対策を万全に設計・製作いたします。